自分が子供の頃の夏休みと言うと、もうかれこれ30年くらい前の話になってしまうが、親の田舎であった信州に新宿発の「あずさ」に乗ってほぼ毎年遊びに出かけたものだ。信州の旧家に1週間くらい滞在して、親の兄弟やいとこなんかも集まって、ちょっとしたところへ出かけたり、お墓参りをしたり、わいわいと楽しい思い出がたくさんある。その後親も亡くなり、皆も大きくなって田舎に行かなくなってからは20年くらいの久しい年月が過ぎている。
さて、今年は娘たちがじいさんばあさんに会いたいというので、奥さんの実家に遊びに出かけた。実家と言っても東京の郊外なので鎌倉からは2時間くらいで着いてしまうが、自分のあの夏の頃を思い出していつもは車で行くところを電車を乗り継いで遊びに出かけた。電車だとこれまでは高田馬場で西武線に乗り換えてとなるが、最近できた横須賀線の武蔵小杉駅で南武線に乗り換え、その後、武蔵野線に乗り継いで新小平に向かうルートの方が時間的にもちょっと早いことが分かり、今回は都心を通らないルートを選んだ。南武線と武蔵野線には滅多に乗ることはないが、東京郊外ののどかな風景の中を走る電車は、田舎に向かうあの夏の景色とオーバーラップするものがある。また、新小平駅で降りて旧青梅街道を歩くと、沿線にたちならぶ旧家がまたいい味を出していて、東京都心まで30分もかからないのに、かなり田舎に来た気分になった。わずか一泊の滞在だったが、20年前を振り返ることができた夏の1日だった。
使用機材 : RICOH GR DIGITAL III